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ライカA [愛しきカメラたち]

今日は、ファジーのカメラコレクションから一台ご紹介します。
 
これは、35mmフィルムを使った最初のカメラとも言えるライカA型
1925年春に開催されたライプチヒの商品見本市に出品されたもの。
82年前の出来事。



手許のA型は製造番号18000番台なので、1929年(昭和4年)製となる。
仕組みが簡単なので、壊れない。今でも現役。
現在のデジカメは80年後には絶対に使えないと思うと、デジカメは耐久消費財ではなく、電化製品ですな。

さて、このフィルムの入れたかにはちょっと工夫がいるが、いまのフィルムがそのまま使える・・・というか現在のフィルムの原型はこのカメラが作り出したのだから使えて当然ともいえる。

フィルムを入れ、ノブをゆっくりと巻き上げ撮影準備をする。このゆったりとした作業も最近のカメラは放棄してしまった。モーターがせっかちにも瞬時に行ってしまう。
心を落ち着け、これからの撮影をイメージする大切な過程であり、書道の前の墨すりの作業に似ていると思うのだが・・・現代人は放棄してしまった・・・残念。

絞りはレンズ前面の小さな爪をスライドさせて合わせる。現在の値はf4.5となる。
日本人の小さな手でも扱いにくいところである。しかしおかげでとてもコンパクトなレンズに仕上がっている。沈胴すればペッタンコ。

距離あわせはレンズの付け根のノブを回して周囲の距離表示に合わせる。(2枚前の写真だと10feetということになる。)
メーター表示であれば、たいがい目測でもあわすことが出来るが、フィート表示だと、目測した後メートルからフィートに頭の中で換算しなければならない。
1フィートは0.3メートルゆえ、目的物まで3メートルだとざっと9フィートとなるので、その距離表示にメモリを合わせる。面倒と思うか、楽しいと考えるかは、人それぞれ。
私の場合は、もちろん後者。

そして、普通のA型は最短距離が 3.3フィート(1m)だが、これは1.5フィートまで接近できる特別仕様となっている。さすがに45cmくらいになると目測は難しく、カメラと被写体との間を巻尺で計りながらの撮影となる。このあたりが、一眼レフと比べて弱いところ。このあたりは、さすがに面倒と感じる。

シャッタースピードは500分の1まで。ノブをつまみ上げて指針に合わすだけ。

絞りとシャッタースピードの相関関係は、フィルム感度と明るさによって決定される・・・といっても機械が決めてくれるのではなく、撮影者である人間が決定する。
ミスはすべて自己責任。

しかし、「F16の法則」があるので、これもなんとかなるものだ。

「F16の法則」とは快晴時の絞りとシャッタースピードの定義したもの。

快晴時の絞りを16にした場合は、シャッタースピードは1/ISO感度になるという法則

これが分かっていれば、曇りならば、この数値から絞りを少し開けてやるか、シャッタースピードを落としてやればいい・・・自然の光や天気を肌と頭脳に感じながらそれをダイヤルに反映させることになる。自然と一体になったような心地がして極めて気持ちがいい。

いまでも時々持ち出してやる。

純正のフードもある。これにもご丁寧にErnst Leitzの象嵌がなされている。これが今ではなかなかない。
昔のレンズであるエルマーの写りはあなどれない。80年間のレンズの進歩とは一体何だったのかと思わせる写りをする。ただし、ピント・露出が上手くいったことが大前提になるが・・・。


私の場合は、36枚中、1枚満足できる写真があれば、とてもしあわせ。
・・・そんな気持ちで接するとクラシックカメラがとても身近なものになってくる。

またA型ライカ以外にも黒塗りライカは我が家には3台ある。
4台揃踏みをご披露して・・・今日はこれくらいで。


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天女が遊

80年前の物ですか?マニアにとってはたまりませんね!
確かに昔の物は長く使うことが出来ます!
手順を面倒と思はず、それを楽しめば最高!!
デジカメと違って腕は必要でしょうが!!?
ライカ、4台揃踏み見事ですね!!
by 天女が遊 (2007-01-22 10:45) 

ライカ4台揃踏み・・横綱の土俵入り・・ってかんじですな、でもスゴイ。
写りもすばらしい、実はLica Ⅲa防湿庫で眠ってます、起こしてあげなきゃ。
by (2007-01-22 17:04) 

Fuzzy

>天女が遊さん。
伝統的なライカもついにデジタルカメラを出しました。
今までの交換レンズが全て使えるのがありがたいのですが、お値段が有難くないので、傍観中です。

>イチローさん。
是非Ⅲa使ってあげてください。使い手を裏切らずに忠実に反応してくれますよ。

・・・こんどはクロームのライカをご紹介します。
by Fuzzy (2007-01-24 14:13) 

HummingBird

黒塗り、カッコいいですねぇ。
バルナックは使ったことがないですけど、落ち着いた写りに好感が持てました。
by HummingBird (2007-01-26 22:04) 

バルナックライカ。欲しいんですよね。。
写真も素敵ですね。
by (2007-01-28 00:43) 

まさやん

先日、はじめて一眼レフ(デジタル)を購入したのですが、一生使うぐらいのつもりで購入を決意しました。それくらい私にとっては高価なものでしたので。でも使っていると、なぜか「いつまで壊れないでいてくれるかな」とふと思ったことがありました。私も「家電に近い」ってことを無意識に感じたのかもしれません。できるだけ長く使えるように、大切にしたいとおもいます。
(でもフィルムカメラもいいな(笑))
by まさやん (2007-01-28 23:30) 

Fuzzy

>PhotoManiacsさん。montaさん。

コメントありがとうございます。
M型の方が人気かもしれませんが、バルナックのコンパクトさはそれ以上の魅力があります。

>まさやんさん。デジタル一眼を求められましたか。最近のものは高画質で銀塩に引けをとらないですね。

このライカAは、登場した当時とても高価でした。
現在の価値に換算すれば、少なくとも200~300万円でしょうね。家一軒、ライカ一台といわれていた時代の話です。
今のデジカメは50年後にはどのくらいの価格になっているでしょうねえ。
by Fuzzy (2007-01-30 15:51) 

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