越前くいしんぼ旅行③ [あまから手帖]
9月2日(日)の福井は快晴。幸先よさそうだ。
今日は、えちぜん鉄道三国芦原線に乗ってあわら温泉と三国湊を訪れる。
昔は京福電鉄だった。京都と福井にあるから京福電鉄。
JRは高架駅になっているが、東側のえちぜん鉄道は地上駅だ。
隣で高架駅とすべく工事中である。
一日乗り放題切符(800円)と沿線ガイド(50円)を買って乗車。
車両は一両編成。
基本的にワンマンカーだが、アテンダント(attendant)という接客係の女性が同乗していろんな相談に乗ってくれる。
乗車券の発行・回収もするが、車掌ではない。客室乗務員なのだ。
アテンダントは職務上積極的に乗客に話しかけてくる。
ア「皆さんご旅行ですか?」
私「はあ。そうです。」
ア「今からどちらへ」
私「あわら温泉でお風呂に入った後、三国港へ行こうと思ってます。」
ア「あわら温泉では、温泉めぐりできるんですよ」「このパンフレットにあるホテルのお風呂が入れますよ。」「お時間あればどうぞ」
私「いや、温泉めぐりしている時間はないので、「セントピアあわら」だけ行こうと思ってんのよ。」
私「ところで、三国港で魚の美味いお店紹介してくれないですか?」
ア「はい。お昼でしたら「はまさか」さんがいいですね。行かれたお客様は皆様美味しかったとおっしゃいます。」
「お昼は午後1時30分でオーダーストップなのでご注意くださいね。」
「場所はこの地図のここです。」「この地図どうぞお持ちください。」
と親切に対応してくれる。
話をしていると、全員で8人のアテンダントがいて、毎日、列車に乗車しているらしい。
ご苦労様です。
観光列車を目指す、えちぜん鉄道のイメージアップ戦略である。
乗車時間30分であわら湯の町駅に到着。
京福のバスが駅前に止まっていることから、バス路線は今だ健在のようだ。
駅に近い芦原温泉に新しくできたという公衆浴場「セントピアあわら」でひとっ風呂浴びる。
ここのお湯はあっさりしたものであった。
芦原(あわら)温泉はそんなに古い温泉ではない。
明治時代にお湯が出て、福井の織物問屋の旦那衆の遊び場として発展したらしい。
温泉にもいろんな歴史があるものだ。
一時間後、再びえちぜん鉄道に乗車。4駅で三国港(みくにみなと)終点。
元国鉄の線路だけあって長いホームが残っている。
木造の駅舎は当時のままなのだろうか。
現在は無人駅になっているが、駅内部に当時の雰囲気が残っている。
駅前には九頭龍川河口の三国港が広がる。いろんな海の幸が水揚げされていそうだ。
(河口から上流を望む)
昼食にありつくため、アテンダントに教えてもらった「はまさか」に行ったが・・・
団体客が入っていて我々の対応不可とのこと。ん~ん残念。
気を取り直して、もう一度駅前を通り過ぎ同じく魚問屋が経営している田島に入る。
ちょうど正午だ。
ファジーな旅にもかかわらず絶妙の時間配分!!
ここでも海鮮丼・・・昨日のものとよく似ているが少し違う。
魚のネタはこちらのほうがよさそう。しかし昨日のものは特製のダシがあったがこちらは醤油のみ。
どちらがいいかは嗜好の問題だな。
午後は三国の町を散策する。
三国は明治中期まで北前船の寄港地で活気ある港町であった。
当時いかに殷賑をふるっていたかといえば、福井県全体の税収の3分の1がここ三国から納められていたというからすごい。
古い家並みが残る町筋にひときわ目立つ建物がある。
三国の豪商森田三郎右衛門が創立した旧森田銀行本店である。
大正9年築の鉄筋コンクリート造。県内最古のもの。その後福井銀行に合併し支店として近年まで使用していたらしい。
外壁は一見レンガ造り。しかしタイル張りなのだ。
見学は無料。おまけに丁寧なガイドもしてもらえる。
カウンター内は市民のギャラリーとして利用されている。
これほど肉厚の天井飾りは全国的にも稀なものとの説明を受ける。
二階の会議室は当時のままで近年まで使われていたらしい。
華やかなりし往時のよい勉強になりました。
そのほか豪商の町家や色街の遺構を見学した後、再び、えち鉄の乗客となる。
またアテンダントに質問!
私「田原町で福井鉄道に乗り換えて市役所前まで行きたいんですが、田原町の連絡は上手くいくでしょうか?」
ア「はい。わかりました。お調べしますね。」 時刻表を広げながら・・・「6分の連絡ですね。」
「これをお持ちください」と福井鉄道のポケット時刻表を手渡される。
私「ありがとう。助かりました。」
「へぇ。ライバル鉄道のポケット時刻表までもってるんや。」と仲間内で盛り上がる。
木造倉庫のような田原町駅はすこぶる趣のある停車場である。
田原町からは路面を走る福井鉄道に乗車。2両連接車。
昔はもっと風情のある車両だったが、今は路面電車のようだ。
問・・・なぜ我々は市役所前に行かなければならないか?
答・・・福井名物のソースカツ丼を食するためであ~る。
市役所前の停留所の横には福井銀行の本店がでんと居座っている。
そこを西にすすむと片町という繁華街にその店がある。
元祖・ソースカツ丼の・・・・ヨーロッパ軒総本店だっ!!
(陰の声)・・・今日のブログでこの旅行記は完結したかったが、余りに一日分が長くなるため、このつづきは月曜日に・・・悪しからず。
すでに口の中でソースカツ丼の風味が漂っている方には誠に申し訳ない。
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えちぜん鉄道のアテンダント、生きた情報を教えてくれるのは、ありがたい!
田原町駅は、渋くていいですねぇ。車両がやけに細いですが、軌間は1067mmなんですね。
海鮮丼の甘エビが・・・食べたい!猛烈に!!(^^)
by (2007-09-07 15:17)
敦賀直流化のころ、さんざん敦賀まで行ったので、敦賀駅構内の寿司屋へも何度も行きました。甘エビの安くて美味い事!
ソースカツ丼も同じころに食べています。敦賀にある分家のほうですが、月間時代の「レイル」に、黒岩さんが北陸トンネル開業直前に訪ねた紀行がありました。上手そうな料理屋がある、いざ訪ねてみると、仕出しに忙しかったというオチがありました。まだ行ったことない、分家の本店です。
by なにわ (2007-09-07 22:25)
えちぜん鉄道のアテンダントさん、こういう若いコがキビキビ働く姿って美しいと思いますね。
ソースカツ丼の初体験は昭和29年の浜松でした。お蕎麦屋さんの品書きにカツ丼とあったので注文、キャベツにトンカツ乗せ丼で、ソースを掛けて食す。卵とじしか食ったことが無かったので吃驚でした。中央線沿線は、今でもカツ丼(カツ乗せ丼)と、カツとじ丼が分かれてますが、カツとじ丼優勢。
by む〜さん (2007-09-08 16:34)
気の合ったお仲間との楽しさが伝わって来る旅行記ですね。読んでいても楽しくなってきます。
えちぜん鉄道の車両って案外良さそうですね。あい変わらず阪神や南海のお古が活躍しているのかと思っていました。
アテンダントというのはアイデア賞ものですね。でも、ちょっとケバそうなお姉さんですが・・・・・。
by サットン (2007-09-09 01:06)
初めまして、京都のむらさき茄子!です。
「ELニッコール50mmf2.8がS型ニコンに付かないか・・・」とプログに書いたらAkiyanさんがこのプログに掲載されているのを教えて頂きました。カメラ!鉄道!と私の大好きな内容満載ですね。
私も元気な頃は、青春18キップで一人ぶらぶら日帰りで福井鉄道・越前鉄道を乗りに行きましたよ。12月初めの平日だったのでどこも閑散とししてました。もう3年、体調が悪く列車には乗れないのですが、新快速で敦賀に行ってみたいです。新疋田駅のホームにも屋根が付いたと聞いており見てみたいですね。
また、ちょこちょこ覗きにきます。よろしくお願い致します!
by むらさき茄子! (2007-09-09 14:22)
>うたにさん。こんばんは。
この丼にはアマエビのお吸い物もついていまして、これがいい出汁がでてまして絶品でした。
>なにわさん。こんばんは。
敦賀にもソースカツ丼のお店があると聞いています。「レイル」に載ってましたか。また調べておきます。
>む~さん。こんばんは。
実は私も卵とじ派です。やはり味付けは醤油のほうが好みです。
>サットンさん。えちぜん鉄道の車両は綺麗でしたよ。アテンダントさんも・・・。
>むらさき茄子さん。はじめまして。
ELニッコールの記事は、ことのほか好評でアクセス件数も多くなっています。是非手持ちのレンズをSマウントに改造してみてください。ライカマウントに比べヘリコイドがいらない分ラクだとおもいますよ。
この旅行で見たときは、新疋田のホームには確かに屋根がついていました。そして、テツ撮りの女性がいました。世の中変わりましたよ。
また、ふらりとお立ち寄りください。
by Fuzzy (2007-09-11 00:23)