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Lマウント沈胴のNIKKORとHexar [愛しきカメラたち]

カメラの話題がご無沙汰だったので、ここらでひとつ・・・

 

ファジー所蔵のカメラレンズの中にちょっと変わったものが混じっている。

それは、NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm Nippon-Kogaku Tokyo とレンズ周りに書かれているライカLマウントの小さなレンズである。

同じような仕様の小西六(現コニカミノルタ)のHexar 1:3.5 f=50mm Konishiroku と並べてみる。

(左:Hexar 右: NIKKOR)


両方とも焦点距離は50mm。距離表示はfeet表示で最短距離も3.5feet

(NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm )

(Hexar 1:3.5 f=50mm)

 

鏡胴の回転方向を示す矢印も同じように施されている。
少し絞りのリングの大きさの違いはあるが、レンズ構成も3群4枚のテッサータイプである。

 

違いは、絞りの位置。



ニッコールは、一枚目レンズの直後にあるが、


ヘキサーは、二枚目のレンズの後ろに配置されている。

絞りの位置が少し奥のほうにあるのがわかるだろうか。


だからNIKKORは、同じ3群4枚のテッサータイプでありながら、絞り位置でいえばライツのエルマータイプといえる。

 

 

そしてもう一つ違う点がある。

このニッコールのマウントネジのピッチが一般的なライカマウントのものと少し違うのだ。
純正のライカにはめ込もうとすると途中で止まってしまう。

(これ以上ねじ込めないよ~う)


全ての機種で同じ結果であった。これでは撮影できない。

少し文献を調べると、原因は、このレンズは昭和14年に発売になったキャノンの普及型であるJ型に供給されていたようだ。)
このカメラは、僅かにネジ規格がちがうカメラであったためにこんなことになったらしい。


しからば、どれほどの個体数があるのか?・・・全く不明である。多くはないであろう。

終戦直後にもそっくりなレンズが作られたようだが、戦後のそっくりさんは、マウントのネジ規格は一般的なライカマウントであり、シリアルナンバーも705で始まっているが、このレンズは570×××なのでこの区分けとは別のものであろう。

(クラシックカメラ専科No46によれば、このレンズの戦前と戦後のものとではナンバーの頭数字が違っていた。との記述アリ。)

 

 

(閑話休題・・・それはさておき)

 

なんとか撮影してみたいと、あれこれお道具箱をひっくり返して探索すると、とあるメーカーのLマウントからMマウントへの転換アダプターに限り、何故かすんなり納まることが判明した。

これを介すれば、M型ライカでの使用はOKとなる。

はい、このとおり。

では撮り比べ。

小山から無限遠を撮影。


(NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm )



(Hexar 1:3.5 f=50mm)
(ともに1/500 f8 LEICA・M3+CENTURIASUPER400)

どちらも文句無く綺麗に撮れている。コントラストもいいね。

ただ、重箱の隅をほじくるようにみると・・・
左遠方の高層ビルを拡大するとNIKKORの方が解像度がやや高いようだ。


(左:NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm 右:Hexar 1:3.5 f=50mm)


 

次に近接とボケ味を試してみる。

(NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm )



(Hexar 1:3.5 f=50mm)

ボケ味は、ほぼ同じように見えるが、これも拡大すると少し木洩れ陽のボケに違いがあるようだ。


(左:NIKKOR-QC 1:3.5 f=5cm 右:Hexar 1:3.5 f=50mm)

まあどうでもいいようなものだが・・・


 

暮れなずむ夜景も試してみた。

ともに隅のほうの街灯が尾を引くようなコマ収差現象は現れず、良好な結果に終わった。

(そもそも4枚玉の場合は、著しいコマ収差は現れないものだが・・・)

 

(結論)
フイルムメーカーの作ったレンズはよく写るの定説とおり、小西六が作ったHexarは50年経っても素晴らしいレンズである。
一方帝國海軍御用達の光学メーカーである日本光学が70年前に作ったと思われるこのレンズも負けていなかった。

さすがNIKKORである。

 


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コメント 12

さだ

私が最初に手にしたカメラは、父のお古の、ヤシカのレンジファインダーでした。オマケ?に二眼レフももらいましたが、こちらで写真を撮ったことはありませんが。

最近は、コンパクトデジカメばかりになってしまい、自慢の?F90Xも久しく休眠中です。D300を欲しいなあ、と思ってるのですが、まだまだ高いですね。

久しぶりにマニュアル機をいじりたくなりました。変なコダワリでクルマはマニュアル車ですけれども(笑)
by さだ (2008-01-11 18:24) 

junsbar

貴重なカメラに、レンズ
面白い比較をありがとうございます。
最近デジカメの一眼レフばかりです。
また、昔のニコンに戻ろうかな
by junsbar (2008-01-11 22:08) 

Agas

時代を考えるとこれは正に頂上決戦ではありませんか(^^

どっちも侮れない性能と言うのが古レンズの魅力満載であります。
我が家にある昭和20年代のNIKKORも素敵な描写ですし、
I型のHexar 50/3.5だって現在でも普通に使えるレンズですからね~。

しかし、ピッチの異なるL-Mアダプタなのに付いてしまう不思議が一番素敵です(笑)
by Agas (2008-01-11 22:15) 

む〜さん

沈胴式のレンズには憧れました。エルマーもニッコールも変えませんでしたが、ローライ35で遂に達成・・・ちょっと・・・だいぶ・・・違うけれど。
そういえば、銀塩カメラの出動は2003年以来、無いようです。引き出しの中で寝ていますので、ちょっと可哀想。
by む〜さん (2008-01-12 01:15) 

Fuzzy

>さださん。こんばんは。
 昔からヤシカのレンズは優秀でしたね。
 その後京セラに移って今ではカメラ事業から撤退してしまったのがとて 
 も残念です。

>Junsbarさん。こんばんは。
 昔のニコンもたまには使ってやってくださいな。
 といいつつも、私のNikonFもずっと寝たままです。

>Agasさん。こんばんは。
 Lマウントのヘキサーは兎に角優秀なレンズなので、是非手に入れてくださいね。
 一方のニッコールのネジピッチが違うことが分かったときは、ほんと冷や汗が出ましたが、なんとか危機を脱しました。

>む~さん。こんばんは。
 私も圧倒的な数量の銀塩カメラより、たった2台しかないデジタルカメラのほうが最近は出番が多いです。
 なんとかしなくては・・・と思うのですが、ブログアップにはデジタルが便利いいので・・・。
by Fuzzy (2008-01-12 21:25) 

なにわ

いまだに主戦は銀塩で、60年代のニッコールの50mmが現役です。
ブログにはデジカメのほうがはるかに便利ですから、SDカードだけ買って誰かのコンデジを借りますか。
でも、お金があったらF6買っちゃうのだろうなあ。
by なにわ (2008-01-13 19:00) 

Fuzzy

>なにわさん。こんにちは。
 60年代のニッコールの50mmは、よく写りますよ。
 現在のスカスカのAFレンズと違って、ずしりと重く、光学製品として満足度が高いです。
by Fuzzy (2008-01-14 09:08) 

小熊猫

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

レンズの撮り比べって
面白いですね。

こういうの見るとやっぱりライカ欲しくなります。
ローライ買ったばかりで
手が出ませんけど(汗)

今はいかにローライを楽しむかです。
by 小熊猫 (2008-01-25 22:46) 

Fuzzy

>小熊猫さん。こんばんは。
 ローライはライカとは違った絵が撮れるのがいいですよ。
 深みといった点ではローライのほうがあると思います。
 どんどん使ってくださいね。
by Fuzzy (2008-01-26 22:38) 

小熊猫

ファジーさん。
質問があるのですが。
バルナックライカって接点がない場合
どうしたら、フラッシュを使えるようにできるんでしょうか?
オーバーホールで、改良してもらうしかないですか?
諦めて、使うのがいいのでしょうか?

ちょっと最近疑問に思って。
まだ買えないんですが、
買う事になったら、どうしたらと思い。
質問してみました。

すいません。いつも質問ばかりで(汗)
by 小熊猫 (2008-03-22 20:03) 

ファジー

小熊猫さん。こんばんは。
クラカメ道に日々精進しているようですね。

さて、バルナックは、ⅢCまでは、ストロボ接点ありませんよね。
アメリカ製の奇妙な部品をシューに取り付ければストロボも使えるようになります。私も所持していますが、結論から言えば、要りません。

アベイラブルライト(そのときの光線だけ)で撮影するのがライカだと思います。はっきり言って、ストロボで使った写真はライカの特色が余り感じられません。

暗い室内などは、明るいレンズを用いない限り撮影できませんが、そのときは、潔くカメラをバックに収めるべきですね。それがライカ的な撮影術です。

そういうカメラですよ・・・ライカは。

なお、可能か否かは存じませんが、ライカに改造を加えることだけは絶対止してください。
我々がたまたま使わせてもらっている、貴重な文化遺産に傷をつけることになるのですから・・・。
by ファジー (2008-03-22 21:09) 

小熊猫

有り難うございます。

わかりました。ストロボは諦めます。
最近ポートレイトの機会が多くて
どうしたらいいのか、悩んでました。

もともと自然光が好きなので
あまり必要ないと今まで思っていたんですが
できるけど、やらないのと
はなからできなくていいのは違うので
最近、ストロボを使ってました。

機能性と、外観からファインダーを向ける事に
被写体がプレッシャーがかからないと思うので
今後、バルナックライカを
メインにしたいと思っています。

それまでがんばってお金ためます!!

いつもありがとうございます!
by 小熊猫 (2008-03-22 22:00) 

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